手軽に使えるクラウド型電子カルテ

病院の業務を改善する電子カルテ

 手書きのカルテは読みにくい面もあるため、内容を確認する手間がかかったり、誤認してしまったりするという問題点があります。しかし、電子カルテは、常に読みやすい文字を画面に表示したり印刷したりできるため、読み違える心配が少なくなります。さらに、電子カルテは情報を電子的に保存するので、膨大な量の紙カルテを保存するスペースを大幅に削減できますし、誰か一人がカルテを使っていると、同じ患者のカルテを他の人が使うことができないという不便を解消してくれます。このような電子カルテのメリットを活用して事務作業の効率を向上させれば、院内で働くスタッフの作業を軽減し、患者へのサービスの質を向上させることができるようになります。
 日本国内には数十種類の電子カルテが存在していますが、どの電子カルテを導入しても同じかというとそうではありません。院内に設置したサーバーにデータを保存する方法もありますし、インターネットを経由して外部のサービスを利用するクラウド型などもあります。今までは院内にサーバーを設置する方法が主流でしたが、最近はメンテナンスも不要で手軽に使えるクラウド型が人気です。
 ITシステムを導入する時は導入費用や機能などに注目しがちですが、常に安定した稼働が求められる病院のシステムの場合、導入後の運用にも注意を払わなければなりません。導入予算が安くても運用するための人員を雇用する必要があるのでは、総合的にコスト負担が高くなってしまいます。その点、システムの管理運用をサービス提供事業者が行うクラウド型は、院内にシステム運用の人員がいなくても常に安定したシステムが利用できます。

使いやすいユーザーインターフェースとなっているか

 病院内にサーバーを設置するかクラウド型を使うか以外に、電子カルテが医療者にとって使いやすいものであるかも確認する必要があります。高機能のシステムであっても、実際に使う医療者が十分に使いこなせないのでは意味がありません。高機能であることを謳うシステムが多数ありますが、導入する前に試しに使ってみて評価するようにしましょう。メーカーによるデモンストレーションだけで決めてしまうのは危険です。
 使いやすさについては個人差がありますが、医療機関で使用するシステムである以上は医療者の視点でつくり込んだシステムが理想的です。ITに不慣れな人でもマニュアル不要で直感的に使えるユーザーインターフェースが用意されていれば安心して利用できます。「最先端の機能が用意してあるから」「あの先生が使っているから」などの理由で導入する電子カルテを決めないようにしましょう。システムは利用者が活用できて初めて価値のあるツールとなります。自分たちの評価を優先しましょう。
 導入する前にシステムを評価する時は概要を把握するだけではなく、できるだけ日常的な業務に近い操作を試してみましょう。新しくて便利な機能も役に立ちますが、本当に使うのはいつもの業務に使う機能です。いつもの業務ならどのように使うかなどを考えながら、検討しているシステムを試してみましょう。何度も操作に中断してマニュアルを読まなくてはならないのなら、他のシステムを検討した方がいいでしょう。電子カルテのようなシステムは、一度導入すると簡単には交換できません。利用することになるスタッフが何度も確かめて、慎重に評価しましょう。

電子カルテの導入について

 電子カルテを導入する時は、システムの内容や操作性を確かめられる期間を用意するなど、しっかりとスケジュールを立てる必要があります。電子カルテは病院全体の業務に大きく影響するシステムです。無計画に導入すると現場の混乱を招きます。一部の人だけで、導入するシステムやスケジュールを決定しないようにしましょう。できるだけスタッフの意見を聞いて、全員が納得しながら導入していくことが適切です。クラウド型を導入するのか、どのようなインターフェースが使いやすいのかなどを確認しながら導入計画を進めましょう。
 電子カルテは病院の業務を効率化しコスト削減を可能にするツールですが、適切なシステムを導入できるかがポイントとなります。適切な電子カルテを使えば、病院運営にとって大きなメリットとなります。目的を明確にして電子カルテを選び、有効に活用できるようにしましょう。